遺伝で将来ハゲそうだから、先に植毛をしておくのはどうか?
親や親戚にハゲている人がいると、遺伝によってハゲる可能性が高くなります。
厳密に言うと、ハゲ自体は遺伝しないのですが、脱毛を引き起こす遺伝子は受け継いでいるため、他の人よりもハゲる確率が高いのは事実です。
遺伝によるハゲは改善が難しいため、将来に備えて先に植毛をしておこうと考える人もいるでしょう。ですが、先に植毛すればハゲを予防できるのでしょうか?
薄毛というのは、どんなことが原因であっても、毛乳頭細胞が分裂しなくなることで起こります。
つまり、ハゲは毛乳頭細胞の働きが衰えることが大元の原因なのです。
毛乳頭細胞の衰えを引き起こす要因の一つに、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンがアンドロゲンレセプターに結合することが挙げられます。
ジヒドロテストステロンとアンドロゲンレセプターが結合すると、毛乳頭細胞が死んだり分裂が止まってしまうのです。
アンドロゲンレセプターの数は生まれつき決まっていて、多い人と少ない人がいます。
遺伝によるハゲは、アンドロゲンレセプターが多い体質を受け継ぐことが原因で引き起こされるのです。
実はアンドロゲンレセプターは後頭部や側頭部の毛根には存在しない、もしくは数がものすごく少ないのです。
そのためジヒドロテストステロンが増えても、脱毛が引き起こされることはほとんどありません。ほとんどの場合、薄毛はおでこなどの生え際や頭頂部から始まります。
それが進行するとおでこがハゲ上がったり、頭頂部だけがハゲたりするのですが、後頭部や側頭部だけハゲることはないですね。
これはアンドロゲンレセプターとジヒドロテストステロンが結合しないからなのです。
植毛では、薄毛になった部分に毛乳頭細胞の働きが衰えていない元気な毛根(ドナー)を移植します。
この毛根を採取するのは、基本的に後頭部からです。前述したように、後頭部にはアンドロゲンレセプターはほとんど存在しないので、薄毛の部分に移植しても毛根の働きが衰えることなく髪が成長します。
毛根の性質は部位によって決まるのですが、例え移植したとしてもその性質は変わりません。
つまり、アンドロゲンレセプターが多い前頭部や頭頂部に、アンドロゲンレセプターの影響を受けない後頭部の毛根を移植すれば、結果的にハゲを防ぐことができるのです。
植毛をすればジヒドロテストステロンの影響を受けることはありません。
例えアンドロゲンレセプターの数が多い体質を受け継いでいても、数が少ない毛根を植え付ければいいだけですから、将来ハゲたくないという方が先に植毛するのは正解かもしれません。
心配が強い場合は、クリニックで医師に相談してみましょう。あなたにとって最適な植毛のタイミングを提案してもらえます。